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2025-26 秋冬トレンド完全予測 ― カラー / シルエット / 素材の行方 ―

メタバースにストリートが入り混じり、サーキュラー経済が当たり前になった2025年
それでも秋冬の空気は、手ざわりと温度感で人を惹きつけます。

2025-26年AWは「触覚ラグジュアリー」と「テック・ユーティリティ」がせめぎ合うシーズン。
くすんだニュアンスカラーに一点ネオンを差す配色、ウエストを極端に絞って包み込むコクーンシルエット、そして原産地まで遡れるバイオ素材……伝統と実験が交差し、感情と機能が共存する服づくりが主戦場になります。

本稿では〈カラー〉〈シルエット〉〈素材〉の三位一体で立ち上がる次の潮流を整理し、企画・MD・バイイングの現場で“すぐ使える”視点へ落とし込みます。次のコレクションに、未来の温度を宿すヒントをここから一緒に読み解いていきましょう。

目次

1. カラー:くすみと艶の“二重奏”

キー・カラー方向性
Future-LuxeCelestial Yellow/Cherry Lacquer/Retro Blue/Neon Flare/Future DuskWGSN × Coloro が選定した 5 大キーカラー。ミニマルな装いに一点差しで未来感を注入。(wgsn.com)
Maximal‐WarmthLemon Grass・Brandied Melon・Lyons Blue・Damson ほかPantone が NYFW AW25/26 で発表したトップ10。懐かしさと上質感を両立させる“詩的ニュアンス”が特徴。(fashiontrendsetter.com)
Berry-GlamMulberry・Winterberry・Poppy Red宝石のように深いベリートーン。都会の夜を彩るグラマラス路線。(checkpointsystems.com)
Industrial HeritageTaupe・モスグレー・コールネイビー原料感を残したグレイッシュ系。ワーク/ミリタリーの素材とも好相性。(checkpointsystems.com)
Runway FlashCherry LacquerAW25/26 キャットウォークで最も目を引いた赤。艶やかなラッカー質。(wgsn.com)

実務TIP
① “Celestial Yellow × ダークブラウン”でレトロモダンに。
② ベリートーンは光沢レザーで昇華。
③ 工業的ニュートラルに一点ネオンを添えると映える。


2. シルエット:包み込む vs. 研ぎ澄ます

トレンド特徴・キーワード参考ソース
Hourglass Rebootコルセット風ウエスト、ワイドベルト、ペプラム。80s パワーの再解釈。(mystylebox.ca, vogue.com)
Cubist Anglesカクカクしたショルダー/裾、“立体裁断”で作る直線美。(vogue.com)
Cocoon & Capeケープコート、ボリューム袖、ミッドレングスの繭型コート。(mystylebox.ca)
Tailoring 2.0ニップドウエストのピーコート、ハイブリッド 3 ピース、静かなエグゼ感。(vogue.co.uk)
Inside-Out / Deconstruct裏返し縫製・見せるタグ・オーバーロックステッチ。(vogue.com)
Sleepcore Layersブランケット・キルト・キルティング。昼夜シームレスな包容感。(vogue.com)
Utility-Modular取り外し袖・ポケットベスト・ドローストリング。フェスや旅先対応。(checkpointsystems.com)

実務TIP

  • パターン段階で「ウエスト -7 cm」「袖幅 +4 cm」など極端なコントラストを設計。
  • ケープやコクーンは軽量中綿で仕立て、レイヤード前提の“可変ボリューム”を意識。

3. 素材・テクスチャ:環境配慮と触覚リッチ

テーママテリアル例インサイト
Grounded Traceability再生農法コットン、欧州フラックス™リネン、Oritain® 認証メリノ原産地まで遡れる“畑 → 服”の完全トレーサビリティが標準化。(premierevision.com)
Bio-Syntheticsトウモロコシ由来ポリマー、Brewed Protein™、CO₂リサイクルポリエステル化石燃料フリーのハイテク糸で機能と環境を両立。(premierevision.com)
Next-Gen Faux Fur / Fleece100% ウール or コットン起毛、シャギー・テディ、シアリング調「リアルを超える手触り」× 動物倫理。(premierevision.com, mystylebox.ca)
Velvet & Molten Metal光沢ベルベット、リキッドメタリック、箔コーティングレザー夢見心地の“Daring & Dreamy”質感。(checkpointsystems.com)
Industrial KnitsChunky リブ、撚り杢ツイード、ガーメントダイデニムヘリテージ系カラーと好相性。ハード × ソフトの交差。(checkpointsystems.com)
Circular DesignTex2Tex™ ポリエステル、長繊維リサイクルコットン、単一素材ニット解体&再資源化まで想定した設計がバイヤーの新基準。(premierevision.com)

実務TIP

  1. 「再生農法+リサイクル混」で LCA を可視化 → 取引先にスコア提示。
  2. ベルベットやフェイクファーは 60 mm 以上の長毛 × ジュエルトーンが映え。
  3. 単一素材ニットは“カラー樹脂ボタン”で同色リサイクル対応に。

4. クロスオーバーする“5 大メガテーマ”

  1. Tech-Luxury
    • ハイテク素材をエレガントなカッティングで。可変フィット & AR タグ連動。
  2. Emotional Craft
    • ハンドモチーフ刺繍・アップサイクルパッチワークで“温度”を可視化。
  3. Armor vs. Softness
    • コルセット/ハーネスとブランケット・フリースの対比で情緒の振幅を表現。
  4. Neo-Heritage
    • ヘリンボーンやチェック柄をネオン糸やラテックスとミックス。
  5. Algorithm-Free Styling
    • 既存ルールを崩す“インサイドアウト”や非対称レイヤードで個の解放。

まとめ:2025-26AWの戦略キーポイント

  • は「くすんだ温度感+一点ネオン」で差別化。
  • は「ウエストマーク × コクーン」など“包む⇄締める”コントラスト。
  • 素材は「トレーサブルな再生天然・バイオ合成 × 触覚リッチ」で語れるストーリーを。
  • MD 計画は、同一アイテムを“フルファー → ノンパーツ”に変形できるモジュラー設計で在庫リスクを軽減。
  • 販促は、原料証明・LCA グラフ・3D着せ替えを EC に実装し、透明性と体験価値を同時提供。

2025-26 秋冬は「感情と機能」「伝統と実験」の両極を自在に横断できるブランドが勝つシーズン。企画段階から カラー × シルエット × 素材 の三位一体で“物語とロジック”を織り込み、市場の期待を先取りしましょう。

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